間質性肺炎の治療方法とは?治療の流れや症状についても解説

間質性肺炎の治療方法とは?治療の流れや症状についても解説

間質性肺炎の治療方法とは?治療の流れや症状についても解説

間質性肺炎は、ゆっくりと進行しながら肺の働きを低下させる怖い病気で、治癒のためには早期発見と適切な治療がとても重要だとされています。しかし、症状が風邪と似ているため見逃されやすく、気づいたときには進行していることも少なくありません。

この記事では、間質性肺炎の原因や症状、診断方法、治療の流れ、そして発症後の生活で気をつけるべきポイントについて詳しくご紹介します。咳が長引いている方やそのご家族、また、間質性肺炎の診断を受けて不安を感じている方は、ぜひこの記事を参考に、早めの受診や適切な治療へとつなげてください。

間質性肺炎の名医への相談はこちら

間質性肺炎とは

間質性肺炎とは

間質性肺炎は、肺の奥にある肺胞の壁に慢性的な炎症が起こり、次第に厚く硬くなることで呼吸機能が低下する病気です。通常、私たちが吸い込んだ空気の中の酸素は肺胞に届き、肺胞の壁を通して毛細血管に取り込まれます。取り込まれた酸素は血液中の二酸化炭素と交換(ガス交換)され、二酸化炭素が体外に排出されます。これが正常な呼吸の働きです。

しかし、何らかの原因で肺胞の壁が炎症を起こして厚く硬くなると、このガス交換がうまくおこなわれなくなり、酸素を体内に取り込む力が弱くなります。その結果、次第に息切れや乾いた咳があらわれはじめ、病気が進行すると、わずかな動作でも呼吸が苦しくなることがあります。この状態を放置すると、肺全体が硬くなり、最終的には重い呼吸不全に至る恐れもあるのです。

間質性肺炎は時間をかけて少しずつ進行する場合もあり、早期に気づくことが難しい病気です。咳や息切れが長く続く場合は、早めに医療機関を受診して原因を確認しましょう。

間質性肺炎の原因と分類

間質性肺炎の原因はさまざまで、特定が難しい場合も多い傾向にあります。

喫煙や加齢、遺伝的な体質のほか、関節リウマチや多発性筋炎、皮膚筋炎などの膠原病にともなって起こることがあります。また、抗がん薬、鎮痛薬、漢方薬などによる薬剤性のものや、放射線治療後に発症する放射線肺臓炎も知られています。

さらに、ほこり、カビ、鳥の羽毛、金属粉、アスベストなどを長期間吸い込むことによるアレルギー反応が原因となる場合も少なくありません。これらのように、原因が明らかなものは「二次性間質性肺炎」と呼ばれます。

一方で、原因が特定できない場合は「特発性間質性肺炎」に分類されます。「特発性肺線維症(IPF)」などは、特発性間質性肺炎のなかでも特に多く見られるタイプです。いずれも進行性の病気であり、早期の診断と治療が重要になります。

間質性肺炎の症状

間質性肺炎の症状

間質性肺炎の症状は、初期と進行した場合で大きく異なります。発症を見逃さないためにも、それぞれの病期における特徴を詳しく知っておきましょう。

間質性肺炎の初期症状

間質性肺炎の初期には、自覚症状がほとんどない場合もあります。徐々に乾いた咳(痰の出ない咳)が出るようになり、風邪が長引いているように感じることもあります。次第に体が疲れやすくなったり、だるさや息苦しさを感じたりすることもあるため注意しましょう。また、食欲の低下や体重減少がみられることもあります。

膠原病をともなう場合は、関節の痛み、発熱、レイノー現象(指先が寒さで白くなる症状)などの全身的な症状を示すこともあります。このように初期の症状は軽く、風邪などの症状と勘違いする場合もあるため、見過ごされやすいことが特徴です。

間質性肺炎が進行した場合の症状

間質性肺炎が進行すると、体を動かしたときに息切れや呼吸困難を自覚するようになります。さらに進行すると、安静にしていても呼吸が苦しくなり、日常生活に支障をきたします。

肺の線維化が進むと、肺の弾力が失われて酸素を取り込む力が低下し、重度の呼吸不全に至ることもあるのです。症状はゆっくり進むことが多く、数年から数十年かけて悪化するケースが一般的ですが、放射線肺臓炎など、短期間で急速に悪化するタイプもあります。

間質性肺炎の診断方法

間質性肺炎の診断方法

間質性肺炎が疑われた場合は、特発性間質性肺炎か、それ以外の要因によるものか見極めて適切な治療方針に導くことが大切です。

最初におこなわれるのは問診で、咳や息切れなどの症状、喫煙歴や薬の使用歴、職業環境などを詳しく確認します。そのうえで、聴診によって異常な呼吸音がないかをチェックし、ばち指(指先が丸く太くなる症状)などの身体症状の有無も観察します。

血液検査では、間質性肺炎に関連する特異的マーカーを調べることが多いです。さらに、炎症反応や自己免疫の異常を調べ、膠原病などの合併症がないか確認します。また、必要に応じて胸部のX線検査やCT検査をおこない、肺の線維化やすりガラス状陰影(※)の分布を詳しく評価して、病変の範囲や進行の程度を把握します。
(※)胸部X線やCTの画像で、肺にすりガラスのように淡く白く写った陰影のこと

ここまで検査をしても診断がつかない場合は、気管支鏡検査や肺生検で肺組織を採取し、顕微鏡で詳しく調べるのが一般的です。さらに、肺活量検査や6分間歩行試験などで呼吸機能を測定し、病気の重症度を評価する場合もあります。これらの結果を総合的に判断し、最終的な診断と治療方針を決定します。

間質性肺炎の治療法

間質性肺炎の治療法

間質性肺炎の治療法は、原因が明らかなのかどうかによって大きく異なります。原因が特定できる場合には、その原因を取り除くことが重要です。

重症度が高い場合や症状が進行している場合には、呼吸リハビリテーションによって運動能力を維持・改善したり、在宅酸素療法で呼吸機能を補助したりします。また、進行が著しい場合には肺移植が検討されることもあります。

進行した間質性肺炎の治療の目的は、完治ではなく、症状の軽減と生活の質の維持が中心となります。そのため、完全な治癒のためには、早期発見が重要なポイントとなります。

特発性間質性肺炎の治療法

特発性間質性肺炎では、ステロイドや免疫抑制薬が推奨されておらず、抗線維化薬であるニンテダニブやピルフェニドンが第一選択薬として用いられます。これらの薬には肺の線維化の進行を抑える効果がありますが、完治を目指すものではありません。

抗線維化薬には副作用があり、双方ともに肝障害や食欲不振があらわれる可能性があるほか、ニンテダニブでは下痢、ピルフェニドンでは光線過敏症などが報告されています。そのため、定期的な肝機能検査を受けながら慎重に治療を続けることが大切です。また、これらの薬は高額で、月に数十万円かかることもあります。長期にわたって服用を続けるためには、公的な医療費助成制度の活用も検討する必要があります。

それ以外の間質性肺炎の治療法

原因が明らかな間質性肺炎では、まず原因の除去が治療の第一歩となります。たとえば、薬剤性の場合は原因薬を中止し、膠原病が関与している場合はその基礎疾患の治療をおこないます。また、職業性や環境因子による場合には、抗原や有害物質からの回避が不可欠です。

薬物療法としては、炎症を抑える目的でステロイド薬や免疫抑制薬が用いられます。重症例ではステロイドパルス療法などの強力な治療がおこなわれることもありますが、感染症などのリスクが高まるため注意が必要です。

さらに、呼吸リハビリテーションや栄養管理、ワクチン接種による感染予防も重要な治療の一部です。これらを組み合わせ、症状の進行を抑えながら生活の質を維持していくことが求められます。

間質性肺炎発症後の生活上の注意点

間質性肺炎発症後の生活上の注意点

間質性肺炎を発症した後は、日常生活の過ごし方が病気の進行や体調の維持に大きく影響します。できるだけ良好な呼吸機能を保つためには、生活習慣の見直しと周囲の理解・協力が欠かせません。

特に、受動喫煙や感染症の予防、適度な運動、十分な休息などを意識することが大切です。間質性肺炎は完治が難しい慢性疾患であるため、無理をせず、医師やリハビリスタッフの指導を守りながら安定した生活リズムを保つことが求められます。

禁煙する

喫煙は肺の線維化を進行させ、病態を悪化させる可能性が非常に高くなります。そのため、間質性肺炎と診断されたら、すぐに禁煙を始めることが必要です。

喫煙は、自分だけではなく周囲の人の健康にも悪影響を及ぼすため、家庭内での受動喫煙を防ぐ意味でも禁煙することが重要です。家族や同居者に喫煙者がいる場合は、禁煙や分煙への協力をお願いし、患者が快適に過ごせる環境を整えましょう。また、禁煙外来やニコチンパッチなどを利用することで、より確実に禁煙を継続できるでしょう。

感染予防対策をする

間質性肺炎の患者は、風邪やインフルエンザなどの感染症をきっかけに病状が急激に悪化することがあるため、日常的に感染予防をおこなうことが大切です。外出から帰った際には手洗いやうがいを徹底し、人混みではマスクを着用するようにしましょう。

また、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種を受けておくことも推奨されます。体調が悪いと感じたときは無理をせず、早めに受診することが大切です。さらに、家族に同様の感染対策を徹底してもらうことで、家庭内感染のリスクも減らせます。

規則正しい生活を送る

呼吸機能を維持して間質性肺炎の進行を予防するためには、毎日の生活リズムを整えることが基本となります。栄養バランスの取れた食事を1日3食、決まった時間に摂取するよう心がけましょう。過度な体重の増加や体重減少は肺への負担を高めるため、適正体重を維持することも重要です。

また、医師やリハビリスタッフの指導に従って、軽いストレッチやウォーキングなどの有酸素運動を継続することが勧められます。運動を通じて筋力や呼吸筋を保つことは、息切れの軽減につながるでしょう。ただし、体調が優れない日は無理をせず休むことも大切です。

過労を避ける

過労や睡眠不足は、免疫力を低下させて感染症を引き起こしやすくするだけではなく、病気の進行を早める要因にもなります。疲れを感じたときは十分な休養を取り、無理な活動は控えるようにしましょう。睡眠は身体の回復に欠かすことができないため、規則正しい就寝・起床時間を保つことが理想的です。

また、ストレスも体調に悪影響を及ぼします。趣味やリラクゼーションを取り入れて、心身をリフレッシュさせる工夫をしましょう。家族や周囲の理解を得ながら無理のないペースで生活することが、間質性肺炎と上手に付き合うための鍵となります。

間質性肺炎の治療でよくある質問

間質性肺炎の治療でよくある質問

最後に、間質性肺炎の治療でよくある質問にお答えしていきます。

間質性肺炎の治療で副作用はありますか?

間質性肺炎の治療では、ニンテダニブやピルフェニドンのほか、ステロイドや免疫抑制剤の長期間使用により副作用があらわれる可能性があります。おもな副作用としては、感染症にかかりやすくなる、血糖値の上昇、骨粗しょう症、胃腸症状、むくみなどが挙げられます。また、免疫抑制剤では、肝機能障害や腎機能障害、白血球減少などが起こることがあるため、定期的な血液検査や医師の指導のもとで慎重に管理することが大切です。

間質性肺炎は発症後、何年生きられますか?

間質性肺炎の予後は個人差が大きく、病型や進行の速度によって異なります。特発性間質性肺炎では、診断後の平均余命はおおよそ3~5年とされていますが、ゆっくり進行する人もいれば、数カ月で悪化するケースもあります。早期発見と継続的な治療により、進行を遅らせることが大切です。

間質性肺炎はうつりますか?

間質性肺炎はウイルス性や細菌性の肺炎とは異なり、他人にうつる病気ではありません。ただし、ウイルス感染やアレルギー反応が発症の引き金になる場合があり、その原因となる病原体に感染する可能性はあります。

間質性肺炎は治療しないとどうなりますか?

間質性肺炎を治療せずに放置すると、肺の線維化が進行して呼吸がしにくくなり、最終的には呼吸不全を引き起こす恐れがあります。軽症で経過観察が可能な場合もありますが、進行性であれば治療をおこなわないと生命に関わることもあります。医師と相談し、病態に合わせた治療を早期に開始することが重要です。

まとめ

間質性肺炎は、肺の組織が硬くなって呼吸機能が低下していく進行性の病気です

間質性肺炎は、肺の組織が硬くなって呼吸機能が低下していく進行性の病気です。原因が明確な場合には、その要因を取り除くことが治療の基本となりますが、原因が特定できない特発性間質性肺炎では、抗線維化薬によって病気の進行を抑える治療がおこなわれます。完治は難しいものの、早期発見と継続的な治療によって進行を遅らせることが可能です。

また、禁煙や感染予防、規則正しい生活を送ることも症状の安定に大きく関わります。間質性肺炎は長期的に付き合っていく必要のある病気ですが、医師の指導を守り、無理のない生活を続けることで、生活の質を保ちながら日常生活を送れるようになります。特に、咳や息切れが続く方は早めに医療機関を受診し、適切な治療につなげましょう。

間質性肺炎の名医への相談はこちら

昭和医科大学病院 病院長 / 呼吸器・アレルギー内科主任教授の相良 博典(さがら ひろのり)先生の写真

【コラム監修者】

相良 博典(さがら ひろのり) 先生

昭和医科大学病院 病院長 
呼吸器・アレルギー内科 特任教授(前主任教授) 

30年以上にわたり、アレルギー疾患を中心とした臨床呼吸器・アレルギー学の発展に尽力してきた。喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、免疫学的呼吸器疾患など幅広い症例を手がけ、豊富な臨床実績を有する。第68回日本アレルギー学会学術大会では大会長を務め、2020年からは昭和医科大学病院病院長として、診療と病院運営の両面から医療の質向上を牽引している。

コラム一覧に戻る