脳動脈瘤の症状とは?原因や治療法についても解説

脳動脈瘤の症状とは?原因や治療法についても解説

脳動脈瘤の症状とは?原因や治療法についても解説

「脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)」のほとんどは無症候ですが、3mm以上の動脈瘤は破裂する可能性があります。もし動脈瘤が破裂してしまうと、突然の激しい頭痛や昏睡状態になることもある「くも膜下出血」を起こし、命に関わる状態になるため、脳動脈瘤について知っておくことはとても重要です。

この記事では、脳動脈瘤の症状や原因、検査の流れ、治療法などについて解説していきます。

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脳動脈瘤とは

脳動脈瘤とは

脳動脈瘤とは、脳の動脈の壁が弱くなった部分が袋状に膨らんだ状態をいいます。多くは動脈の分かれ目(分岐部)に生じ、内部を流れる血液の圧力がかかり続けることで徐々にふくらみが大きくなっていくものがあります。

脳動脈瘤は、健康診断や別の病気の検査で偶然見つかるケースもあります。しかし、破裂すると「くも膜下出血」を引き起こし、命に関わる重い症状につながるため、早期の発見と適切な管理が大切です。

脳動脈瘤の発生部位

脳動脈瘤は、脳の中心付近で複数の血管が輪のようにつながっている部分(ウィリス輪)の血管の分岐部に多く発生します。これらの部位は、分岐によって流れがぶつかりやすいため、血管の壁に負担がかかりやすいと考えられています。

脳動脈瘤の分類

脳動脈瘤の形態は、ぶどうの実のような「嚢状(のうじょう)脳動脈瘤」がもっとも一般的で、多くの脳動脈瘤がこのタイプに含まれます。一方で、血管が全体的にふくらむ「紡錘状(ぼうすいじょう)脳動脈瘤」や、動脈壁の内側が裂けて血液が入り込む「解離性(かいりせい)脳動脈瘤」など、特殊なタイプも存在します。

脳動脈瘤の症状

脳動脈瘤の症状

未破裂脳動脈瘤の症状

ほとんどの未破裂の脳動脈瘤は症状がありません。ただし、動脈瘤が大きくなったり神経の近くにできたりすると、圧迫により、まぶたが下がる、物が二重に見えるなどの目の動きの異常、片側の視野欠損や視力の低下などの症状が現れることがあります。

破裂脳動脈瘤(くも膜下出血)の症状

脳動脈瘤が破裂すると、くも膜下出血を起こします。もっとも典型的な症状は突然の激しい頭痛で、その症状は「雷が落ちたような頭痛」などと表現され、数秒〜数分で一気にピークに達します。この症状について「今まででいちばん強い頭痛」、「バットで殴られたような痛み」と表現する人も多くみられます。

また、頭痛にともなう吐き気や嘔吐、意識の低下、いきなり昏睡状態になることもあります。これらの症状は、出血による脳や髄膜への刺激、脳圧の上昇などによって起こる症状です。

脳動脈瘤が破裂した場合は命に関わることが多く、早急な治療が重要です。症状が疑われる場合は、ためらわずに救急要請することが必要となります。

脳動脈瘤の原因

脳動脈瘤の原因

脳動脈瘤は、ひとつの要因だけで起こるわけではなく、年齢にともなう血管の変化、生活習慣や持病、さらに体質や生まれつきの血管の構造などの条件が重なって発生すると考えられ、成人人口の3-5%に発見される疾患です。

ここからは、脳動脈瘤のおもな原因について解説していきます。

血管壁の変性と加齢

血流の勢いがぶつかりやすい動脈が分岐している部分は負担が繰り返し加わるため、血管の壁が弱くなりやすく、膨らみ(動脈瘤)が発生する要因となります。

生活習慣・基礎疾患

高血圧は、脳動脈瘤の形成や破裂への影響が大きく、もっとも重要視されているリスク要因のひとつです。血圧が高い状態が続くと、血管壁に常に強い力がかかり、壁の弱い部分がさらに膨らみやすくなります。

また、喫煙は血管壁を傷つけて炎症や劣化を促すことが分かっており、脳動脈瘤の発生・破裂の両方のリスクを高める要因として知られています。

遺伝的要因と家族性

親や兄弟姉妹に脳動脈瘤をもつ方がいる場合は、脳動脈瘤を発生しやすい傾向があるともいわれています。3親等以内の血縁者に発見された脳動脈瘤は「家族性(かぞくせい)脳動脈瘤」と呼ばれており、遺伝的な体質も背景にあると考えられています。

特定の遺伝子が単独で原因になるわけではありませんが、血管壁の構造や結合組織の強さに関わる遺伝的要素によって脳動脈瘤ができる可能性があります。

先天的要因

たとえば、多発性嚢胞腎や結合組織(関節や皮膚)の疾患のように、遺伝性の血管系の疾患をもっている方は、脳動脈瘤ができるリスクが高まることがあります。こうした先天的要因は割合としては高くありませんが、若い年代で脳動脈瘤が見つかった場合には、背景に体質的な要因が関わっていないかが検討されます。

脳動脈瘤の診断

脳動脈瘤の検査

脳動脈瘤は、症状だけでは見つけにくいことがあり、多くは画像検査によって確認されます。特に2mm以上の脳動脈瘤は、画像検査によってほぼ確認されます。

脳動脈瘤の画像検査

MRIとMRAは、おもに未破裂脳動脈瘤の発見や経過観察に使われています。MRIが脳の断面を画像化する一方、MRAでは脳・頸部の血管を描出することで脳動脈瘤の有無、位置、大きさ、形などの状態を確認します。造影剤は使用せず、被ばくのリスクもない非侵襲の検査であるため、妊婦の方でも受けることができます。

また、強い頭痛などで破裂が疑われる場合は、まずCTで脳の断面を撮影して出血の有無を確認します。さらに必要に応じて、CTAやより詳しく血管を描出できるカテーテルによる脳血管の造影検査がおこなわれます。

脳動脈瘤の診断までの流れ

脳動脈瘤は、未破裂か破裂かで診断までの流れが大きく異なります。脳ドックなどで未破裂の脳動脈瘤を指摘された場合は脳神経外科の専門医を受診し、さらに詳しく画像検査をおこない、大きさや形、周囲の血管との位置関係によって治療をするか経過観察にするかを決めていきます。

すでに破裂して、くも膜下出血を起こしているケースでは救急対応となり、出血の確認と同時に原因の動脈瘤を迅速に特定し、そのまま緊急治療に移ります。

脳動脈瘤の治療法

脳動脈瘤の治療法

脳動脈瘤の治療法の選択基準

3mm以上の動脈瘤は破裂する可能性があり、サイズが大きく形が不整な場合や部位によっては、破裂率が高くなることが知られています。

部位と大きさによって破裂率が数字化されていますが、動脈瘤は治療難易度の高いものもあるため、治療する場合の安全性やリスク、年齢や併存症状・高血圧・喫煙などの背景を踏まえて、経過観察・クリッピング術・血管内治療のなかから最適な方法を選択します。観察中にサイズの増大や形の変化があれば、破裂リスクを再評価して治療方針を見直します。

脳動脈瘤の外科的治療

開頭クリッピング術は、動脈瘤の根元をクリップで挟んで血流を遮断し、膨らみに血液が入らない状態をつくることで将来の破裂を防ぎます。血管や神経を直接確認し根元を完全にを閉鎖できるため根治性が高いことが利点です。

一方、血管内治療(コイル塞栓術)は、カテーテルを挿入して動脈瘤内にコイルを詰めて閉鎖する方法で、場合によってはステントを併用します。開頭せずにおこなえるため体への負担が比較的小さいとされています。入口部の完全な閉鎖という面では開頭に劣りますが、最近はウェブや、根治性のあるフローダイバーターステントデバイスが登場しています。動脈瘤の形や根本の太さによっては再発や追加治療の可能性もあり、発症部位や形状、年齢などを考慮して適応を判断します。

脳動脈瘤の破裂後の治療とリハビリ

脳動脈瘤が破裂してくも膜下出血を起こした場合は、再破裂する可能性が高く、これを防ぐためにクリッピング術またはコイル塞栓術が必須となります。再破裂は発症直後ほど起こりやすいため、緊急対応が必要です。 術後は、脳梗塞や脳の腫れ、水頭症などの合併症に注意しながら全身管理をおこない、症状が落ち着いたと判断されたら、麻痺や高次脳機能障害、体力の状態に応じてリハビリテーションを開始して日常生活への復帰を目指します。

脳動脈瘤の予防

脳動脈瘤の予防

脳動脈瘤は完全に防ぐことができると保証された病気ではありませんが、血管の健康を守る生活習慣や定期的な検査などをおこなうことにより、発症の確率を下げることは可能です。ここからは、日常で取り組める脳動脈瘤の予防策を紹介していきます。

血圧・生活習慣の管理

血圧を適切に保つことは、脳動脈瘤予防の基本となります。高血圧状態が続くと血管壁への負荷が増えて脳の動脈が膨らみやすくなるため、高血圧を診断されていなくても、自宅での血圧測定をおこなうことをおすすめします。また、喫煙・高血圧・大量飲酒などの生活習慣は、動脈瘤発生・破裂のリスクを高くする要因であることが複数の研究で報告されています。禁煙・過度の飲酒の抑制・バランスの良い食事をこころがけましょう。

定期的な検査

家族にくも膜下出血などがあった方は、脳ドックや頭部MRI・MRAなどの検査により未破裂動脈瘤の早期発見につながる可能性があります。ただし、検査を受けたからといって動脈瘤が必ず見つかるわけではありません。一度の受診で終わらせるのではなく、定期的に検査を受けることが重要です。

ストレス・過労のコントロール

慢性的なストレスや過度の疲労は、血圧を上昇させたり血管への負荷を高めたりする要因となり、結果として脳動脈瘤の形成・破裂リスクを高める可能性もあります。仕事や家庭でのストレスを軽減し、十分な休息・睡眠を確保することが血管の健康維持につながります。

まとめ

脳動脈瘤は脳の血管の一部にふくらみが生じる疾患

脳動脈瘤は、脳の血管の一部にふくらみが生じる疾患です。ほとんどの場合は無症状のまま経過しますが、破裂するとくも膜下出血を起こし、重篤な状態に至ることがあります。治療方針は、動脈瘤の大きさや形・位置・患者の年齢や基礎疾患などを総合的に評価し、経過観察・開頭クリッピング術・血管内治療のなかから最適な方法を選択します。

飲酒・喫煙などの生活習慣の見直しは、脳動脈瘤の形成や破裂リスクを下げるうえで重要なアプローチです。また、自宅での血圧測定など、日常的に取り組める予防策からはじめてみましょう。

もし、頭痛や視野の異常など気になる症状が続く場合や家族歴がある場合には、早めに医療機関へ相談して必要に応じた検査を受けることで、将来の健康リスクを減らす一歩につながります。

「会って話せる医療相談」では、臨床経験の豊富な医師が診察を担当し、最適と考えられる治療方法のご提案や医療機関の紹介をおこなっております。紹介状や画像検査の結果がなくても受診していただけますので、脳動脈瘤を診断された方や懸念される症状がある方は、ぜひ「会って話せる医療相談」までお問い合わせください。

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